FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問23

問23

わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 預金保険制度で保護される預金等の額の算定にあたり、単に名義を借りたにすぎない他人名義預金については、名義の借主が破綻金融機関に有する他の預金等と合算される。
  2. 同一の預金者が、破綻金融機関に、担保権の目的となっている定期預金と担保権の目的となっていない定期預金の口座を有し、その元本の合計額が1,000万円を超える場合、付保預金の特定にあたっては、担保権の目的となっていないものが優先される。
  3. 破綻金融機関に預け入れられていた普通預金については、当該預金者への払戻金が確定する前に、暫定的に1口座当たり200万円を上限に仮払金が支払われることがある。
  4. 預金者が破綻金融機関に対して借入金を有しているときは、借入金について借入約定等の特約により相殺が禁止されている場合を除き、預金者の意思にかかわらず、預金の債権と借入金の債務が相殺される。

正解 2

問題難易度
肢114.4%
肢260.0%
肢39.6%
肢416.0%

解説

  1. 不適切。無記名預金、仮名・借名預金等の他人名義預金、架空名義預金は預金保険制度の対象外です。単に他人の名義を借りたにすぎない預金は、「他人名義口座」とみなされ預金保険の対象になりません。破綻金融機関に有する名義人の他の預金等と合算されることもありません。
    ※仮名預金…本当の氏名以外の通り名等で作られた口座、借名預金…親族等の名義で作られた口座、他人名義口座…他人の承諾を得て名義を借りて作られた口座です。
  2. [適切]。保護される預金(付保預金)の特定は次の手順で行われます。預金口座が複数あり、その元本合計金額が1,000万円を超えている場合、まずは担保権の目的となっていないものが優先されます。
    1. 担保権の目的となっていないもの
    2. 弁済期(満期)の早いもの
    3. 弁済期(満期)が同じ預金等が複数ある場合は、金利の低いもの
  3. 不適切。保険事故の発生時、預金保険機構運営委員会が預金者の当面の生活資金等が必要と判断した場合には、保険金の支払いや付与預金の払戻しの前に、1口座につき60万円を上限として仮払金の支払いが行われることがあります。
  4. 不適切。預金者が破綻金融機関に対して借入金等を有している場合には、預貯金債権と借入金債務を同額で相殺することができます。ただし、自動的に相殺されるわけではなく、預金者が相殺を行うためには、民法及び預金規定・借入約定等に基づいて、預金者側から破綻金融機関に対して所定の手続を行い相殺をする旨の意思表示をする必要があります。
したがって適切な記述は[2]です。