FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問23

問23

金融商品取引に係るセーフティネットに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 日本国内に本店のある銀行の海外支店や外国銀行の在日支店に預け入れた預金は、その預金の種類にかかわらず、預金保険制度の保護の対象とはならない。
  2. 破綻金融機関に対して借入金を有している預金者は、借入約定等の特約により相殺が禁止されている場合などを除き、破綻金融機関に相殺を申し出ることで、預金と借入を相殺することができる。
  3. 農業協同組合に預け入れた当座貯金や無利息普通貯金などの決済用貯金は、その預入金額の多寡にかかわらず、全額が農水産業協同組合貯金保険制度の保護の対象となる。
  4. 投資信託の購入先である銀行が破綻し、分別管理が適切に行われていなかったために顧客資産の一部または全部が返還されない事態が生じた場合、投資者保護基金により顧客1人当たり1,000万円を上限として顧客資産が補償される。

正解 4

問題難易度
肢111.3%
肢210.5%
肢313.9%
肢464.3%

解説

  1. 適切。預金保険制度の保護の対象となるのは、日本国内に本店のある金融機関の国内支店に預け入れられた預金等です。外国銀行の日本支店や国内銀行の海外支店の預け入れられた預金は預金保険制度の対象外です。
  2. 適切。預金者が破綻金融機関に対して借入金等を有している場合には、預貯金債権と借入金債務を同額で相殺することができます。ただし、自動的に相殺されるわけではなく、預金者が相殺を行うためには、民法及び預金規定・借入約定等に基づいて、預金者側から破綻金融機関に対して所定の手続を行い相殺をする旨の意思表示をする必要があります。
  3. 適切。預金保険制度は銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫の預金も保護対象としているので、農業協同組合の貯金はカバーしていません。しかし、農業協同組合、漁業協同組合、農林中央金庫等にも預金保険制度と同等の「貯金保険制度」があるので、「無利息、要求払い、決済サービスを提供できること」という3つの要件を満たす決済用貯金は、貯金保険制度によってその全額が保護対象となります。
  4. [不適切]。銀行など証券会社以外の金融機関は、投資者保護基金には未加入のため、銀行で購入した投資信託は投資者保護基金の補償対象にはなりません。
したがって不適切な記述は[4]です。