FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問49
問49
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
- 被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんの所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地について特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。
- 被相続人であるCさんの居住の用に供されていた家屋およびその敷地である宅地を、相続開始の直前においてCさんと同居していたCさんの子Dさんが相続により取得した場合に、子Dさんが当該家屋を相続税の申告期限までに取り壊して建替え工事をしたときは、当該宅地について特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができない。
- 被相続人であるEさんが発行済株式総数の全部を有する法人の事業の用に供されていた宅地をEさんの子Fさんが相続により取得した場合に、子Fさんが相続開始の直前において当該法人の役員でなかったときは、当該宅地について特定同族会社事業用宅地等として本特例の適用を受けることができない。
- 被相続人であるGさんの事業の用に供されていた宅地をGさんの妻Hさんが相続により取得した場合、妻Hさんが当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地について特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。
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正解 1
問題難易度
肢148.8%
肢218.8%
肢316.4%
肢416.0%
肢218.8%
肢316.4%
肢416.0%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:7.不動産の相続対策
解説
- [適切]。被相続人と同居していた親族が取得した場合は、申告期限まで継続して居住し、相続税の申告期限まで保有することで要件を満たすので、本特例の適用を受けることができます。「自己の所有する家屋に住んだことがない」という条件は、同居していない親族が取得した場合の条件です。被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2022.9-49-1)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2021.9-49-3)
- 不適切。特定居住用宅地等を配偶者以外の親族が取得した場合、相続開始から申告期限までの居住と所有が適用要件となりますが、申告期限までに家屋の建替え工事に着手した場合でも、その宅地が当該親族の居住に使用される場合には、申告期限において居住しているものと取り扱われます(措法通69の4-19)。これは他の特例対象宅地等でも同様です。被相続人であるCさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始直前においてCさんと同居していた内縁の妻Dさんが遺贈により取得した場合、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができない。(2022.9-49-2)
- 不適切。特定同族会社事業用宅地等の取得者の要件は下図のとおりです。取得者は被相続人の親族であり、相続税の申告期限時点で当該法人の役員である必要がありますが、相続開始の直前において役員であることは要求されません。すなわち、役員でなかった者が事業承継して役員になったケースでも本特例の適用を受けることができます。被相続人であるFさんが有料老人ホームに入所したことで、Fさんの居住の用に供されなくなった宅地を、入所前に同居し、引き続き居住しているFさんの子Gさんが相続により取得した場合に、相続開始の直前においてFさんが要介護認定または要支援認定を受けているときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2022.9-49-4)被相続人が発行済株式総数の全部を有する法人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その親族が相続開始の直前において当該法人の役員でなければ、当該宅地は特定同族会社事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2020.9-49-3)被相続人が発行済株式総数の全部を有する法人の事業の用に供されていた宅地(被相続人が所有)を被相続人の長男が相続により取得した場合、長男が相続税の申告期限までに総議決権数の50%超の議決権を有すること、かつ、当該法人の役員であることを要件に、当該宅地は「特定同族会社事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができる。(2014.9-49-1)
- 不適切。特定事業用宅地等の取得者の要件は下図のとおりです。特定事業用宅地等は、配偶者が取得したときも申告期限までの事業継続要件と所有要件を満たす必要があります。よって、申告期限までに宅地を売却した場合、本特例の適用を受けることはできません。被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2020.9-49-1)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2018.1-49-2)被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地を相続により取得し、貸付事業を引き継いだ被相続人の配偶者が、当該宅地を相続税の申告期限までに売却した場合、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることができない。(2017.1-49-2)被相続人の事業の用に供されていた宅地(不動産の貸付け等を除く)を配偶者が相続により取得し、その配偶者が当該事業を相続税の申告期限までに承継せず、かつ、営んでいない場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。(2015.1-49-2)
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