FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問32

問32

消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 適格請求書発行事業者として登録を受けた国内の課税事業者は、その基準期間における課税売上高の金額の多寡にかかわらず、簡易課税制度の適用を受けることができない。
  2. 簡易課税制度の適用を受ける事業者が2種類以上の事業を行い、課税期間における課税売上高を事業の種類ごとに区分していない場合、事業の種類にかかわらず、最も低い第6種事業のみなし仕入率(40%)が全体の課税売上に対して適用される。
  3. 小売業を営む適格請求書発行事業者が、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付する場合、「税率ごとに区分した消費税額等」および「適用税率」については、いずれか一方の記載があれば足り、「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」の記載は不要とされる。
  4. 適格請求書発行事業者が行った課税資産の譲渡等について返品を受けたことにより、売上に係る対価の返還等を行う場合、原則として、当該売上に係る対価の返還等を受ける事業者に対し、適格返還請求書を交付しなければならないが、当該売上に係る対価の返還等の額が税込価額10万円未満であるときは、その交付義務が免除される。

正解 3

問題難易度
肢121.9%
肢210.0%
肢338.9%
肢429.2%

解説

  1. 不適切。簡易課税制度は、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者であれば適用を受けることができます。適格請求書発行事業者としての登録は、簡易課税制度の適用の可否とは無関係です。
    適格請求書発行事業者は、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった場合、消費税の免税事業者となる。2024.5-32-1
  2. 不適切。2種類以上の事業を営む事業者が、課税売上高を事業の種類ごとに区分していない場合には、区分していない部分についてはその区分していない事業のうち最も低いみなし仕入率が適用になります。すべてにおいて最も低い第6種事業のみなし仕入率が適用されるわけではありません。
    例えば、第1種事業・第2種事業・第3種事業を営む事業者がいて、売上を区分していない場合には、区分していない部分については第3種事業のみなし仕入れ率が適用されます。
    簡易課税制度の適用を受ける事業者が2種類以上の事業を行い、そのうち1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に対して適用することができる。2025.1-33-4
    簡易課税制度の適用を受ける事業者が2種類以上の事業を行い、そのうち1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に対して適用することができる。2022.9-33-2
    2種類以上の事業を営む事業者が、当該課税期間における課税売上高を事業の種類ごとに区分していない場合には、事業の種類にかかわらず、最も低い第六種事業のみなし仕入率(40%)が全体の課税売上に対して適用される。2022.1-32-4
    簡易課税制度の適用を受ける事業者が2種類以上の事業を行い、そのうち1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合は、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に対して適用することができる。2021.9-32-3
    簡易課税制度の適用を受ける事業者が2種類以上の事業を行い、そのうち1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の50%以上を占める場合は、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に対して適用することができる。2021.1-33-4
    簡易課税制度の適用を受ける事業者が2種類以上の事業を行い、そのうち1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合は、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に対して適用することができる。2019.9-31-3
  3. [適切]。小売業や飲食店業、タクシー業など不特定多数の者に課税資産の譲渡等を行う業種の者は、適格請求書に代えて「適格簡易請求書」を交付することができます。適格簡易請求書は、記載事項のうち交付先の事業者の氏名・名称の記載が不要、消費税額等と適用税率のいずれか一方の記載で足りるなど簡略化されたものです(消費税法57条の4第2項)。
  4. 不適切。10万円ではありません。適格請求書発行事業者が譲渡した資産の返品や値引き、割戻しなど対価の返還等を行ったとき、原則として適格返還請求書を発行しなければなりません。ただし、その対価が1万円未満の場合、適格返還請求書の交付義務が免除されます(消費税法令70条の9第3項)。
したがって適切な記述は[3]です。