FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問43

問43

贈与税の配偶者控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 夫から居住用不動産の贈与を受けた妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、夫との婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年以上でなければならない。
  2. 夫から妻に対して、居住用不動産(相続税評価額2,500万円)の贈与が行われ、妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けた年の翌年に夫が死亡した場合、夫の相続により財産を取得した妻の相続税の課税価格に390万円が加算される。
  3. 夫が保険料を負担していた生命保険契約に基づき、贈与税の課税対象となる保険金を受け取った妻が、その保険金により居住用不動産を取得した場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。
  4. 夫から妻に対して、店舗併用住宅の贈与が行われた場合、その家屋の専ら居住の用に供している部分の床面積が、家屋の床面積の2分の1以上でなければ、贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできない。

正解 3

問題難易度
肢113.1%
肢217.3%
肢352.7%
肢416.9%

解説

  1. 不適切。贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与日において贈与者との婚姻期間が20年以上である必要があります(相続税法令4条の6)。
    配偶者から居住用不動産の贈与を受けた者が贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、当該配偶者との婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年以上でなければならない。2022.5-43-1
    配偶者から居住用不動産の贈与を受けた者が贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、当該配偶者との婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年以上でなければならない。2018.1-43-2
    妻が2005年6月に婚姻した夫から2025年8月に居住用不動産の贈与を受けた場合、婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年未満であるため、贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできない。2015.9-42-1
  2. 不適切。贈与税の配偶者控除の適用で控除された部分の金額は、相続税の課税価格に加算する必要がありません。これに対し、相続開始前7年以内に暦年贈与課税の対象となった部分は、基礎控除額を含めて相続税の課税価格に算入しなければなりません。したがって本肢の場合、受贈した居住用不動産の価額2,500万円から贈与税の配偶者控除額を除く「2,500万円-2,000万円=500万円」が相続税の課税価格に加算されます。
    夫から妻に対して、居住用不動産(相続税評価額2,500万円)の贈与が行われ、妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けた年の翌年に夫が死亡した場合、夫の相続により財産を取得した妻の相続税の課税価格に390万円が加算される。2022.5-43-4
    夫から妻に対して、居住用不動産(相続税評価額2,200万円)の贈与が行われ、妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けた年の翌年に夫が死亡した場合、相続により財産を取得した妻の相続税の課税価格に200万円が加算される。2015.1-42-4
    夫から妻に対して、2024年6月に居住用不動産(相続税評価額2,200万円)の贈与が行われ、妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けた後、2025年11月に贈与者である夫が死亡した場合、当該控除の適用を受けた居住用不動産について、200万円が相続税の課税価格に加算される。2014.1-42-2
  3. [適切]。契約者が夫で、満期保険金受取人が妻であるなどの生命保険契約で、妻が受け取った保険金で居住用不動産を取得した場合も、贈与により取得した金銭に含まれるとされています。よって、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。
    夫が保険料を負担していた生命保険契約に基づき、贈与税の課税対象となる保険金を受け取った妻が、その保険金により居住用不動産を取得した場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。2020.9-42-2
    夫が保険料を負担していた生命保険契約に基づき、贈与税の課税対象となる保険金を受け取った妻が、その保険金により居住用不動産を取得した場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。2015.9-42-3
  4. 不適切。居住用部分の面積割合は問われません。贈与税の配偶者控除は、店舗併用住宅にも適用可能であり、建物内に専ら居住の用に供する部分が一部でも存在すれば、その部分は居住用不動産に該当します。居住用部分の床面積が家屋全体の2分の1未満であることを理由に、適用が否定されることはありません。
    配偶者から店舗併用住宅の贈与を受けた場合に、その居住の用に供している部分の面積が、その家屋の面積の過半を占めているときは、その家屋の全部を居住用不動産に該当するものとして本控除の適用を受けることができる。2019.5-42-3
    配偶者から店舗併用住宅の持分の贈与を受けた場合、贈与を受けた持分の割合が、その家屋の全体の面積のうち居住用部分の面積の占める割合の範囲内であれば、その持分の贈与はすべて居住用部分として贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。2018.1-43-4
    夫から妻に対して、2025年5月に居住用不動産を取得するための金銭2,000万円の贈与が行われ、その金銭により2026年2月に居住用家屋を取得し、2026年4月に居住を開始した場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。2014.1-42-3
したがって適切な記述は[3]です。